抗酸菌部からのお知らせ
結核菌感受性試験外部精度評価実施のご案内
結核研究所抗酸菌部では2016年度の結核菌薬剤感受性試験外部精度評価を実施することと致しました。本年度の対象薬剤はピラジナミドが中心ですが、イソニアジド、リファンピシン、ストレプトマイシン、エサンブトール、レボフロキサシン、カナマイシンについても評価可能な構成となっています。
つきましては、参加施設を募集したいと思います。ご希望の施設は、実施プロトコールを掲載していますので、ご覧の上、平成28年9月15日までに電子メールでお申し込み下さい。
なお、この外部精度評価はAMED委託研究開発事業研究課題「地域における結核対策に関する研究」の分担研究として実施するものです。
ご参加のほど、宜しくお願い申し上げます。
御手洗 聡
結核予防会結核研究所抗酸菌部
★結核菌薬剤感受性試験外部精度評価(2016年度)の実施方法★
実施責任者
(公財)結核予防会結核研究所抗酸菌部 部長 御手洗 聡
この外部精度評価は、平成28年度AMED研究課題「地域における結核対策に関する研究」分担研究「結核病原体サーベイランスシステム構築に向けた広域分子疫学評価と検査精度保証」の一部として実施する。
はじめに
結核菌の薬剤感受性試験は、基本的に薬剤曝露に対する結核菌の発育の有無の評価によって行われる「表現型試験」である。感染症法では、2016年の改正に基き、外部精度評価等による信頼性確保が要件化されている。
結核菌の薬剤感受性試験結果は患者管理上の基礎的データであると同時に、結核対策全体を評価する際の重要な指標でもある。薬剤感受性試験の信頼性の確保は重要な課題である。
目的
Proficiency testing(感受性既知の結核菌株によって構成されたパネルテスト)により、結核菌の薬剤感受性試験精度を評価する。今回特にPyrazinamide (PZA)の感受性試験を中心に実施する。
参加要件
感染症法の要求する施設基準(四種)を満たしており、結核菌薬剤感受性試験を実施している施設全てを基本的に対象とする。参加は任意であり、外部精度評価実施プロトコール(本文)の内容について諾とした施設のみに試験用の検体を送付する。
被験検体(結核菌株)
結核菌10株を0.4〜0.5mlの液体培地中に懸濁した状態で参加施設担当者に送付する。今回使用する菌株はSupra-national Reference Laboratory Network(SRLN)で実施された薬剤感受性試験外部精度保証プログラムにおいて、基本的に複数の方法により施設間で80%以上(ほとんど90%以上)の判定一致率を示した菌株であり、その一致した評価を感受性・耐性判定の基準とする。
送付する菌株の中には薬剤耐性株を含む。感染症法の規定により三種病原体の運搬が極めて困難であるため、被検菌に超多剤耐性結核菌に相当する結核菌(三種病原体等)を使用しない。しかしながら、多剤耐性結核菌を含めて他の耐性は存在するため、取り扱いには十分なる注意を要する。なお、被験菌は国連容器を用いて三重包装とし、金属ケース(四次容器)に収めてゆうパックにて郵送する。
金属ケースと国連容器は再利用するため、菌株受領後は結核予防会結核研究所抗酸菌部細菌科へ返送する(送付時に返送用着払い伝票を同梱する)。
検体発送時期
発送は平成28年9月1〜30日頃を予定している。
試験薬剤
試験薬剤は、基本的にPyrazinamide (PZA)とする。
Isoniazid (INH)、Rifampicin (RFP)、Ethambutol (EB)、Streptomycin (SM)、Levofloxacin (LVFX)及びKanamycin (KM)も対象薬剤として同じパネルテスト株で実施可能であるが、実施については任意とする(PZA以外の薬剤だけの実施も可とする)。
感受性試験方法
送付された被験菌を継代培養する。基本的に参加各施設で日常実施している方法で感受性試験を行う。報告用紙(別紙・電子ファイルを準備)に記入し、実施責任者(結核研究所・御手洗聡)宛報告する。
結果の返送
薬剤感受性試験結果の報告は被験菌受領から3ヶ月以内とする。やむを得ず3ヶ月を越える場合には前以て実施責任者へ連絡する。
結果の評価
それぞれの菌株の薬剤感受性試験結果は「耐性」あるいは「感受性」のいずれかとして判定する。なお、報告用紙に記入する際は、感受性にはS、耐性にはRを用いて表記する。結果報告は電子ファイルで行うこととし、PZA用と他の薬剤用(任意)の二つを準備して各施設に送付する。
MICを用いて検査を行っている施設について、Iと判定された場合はRかSかのどちらか各施設にて判定する。
複数の方法について評価を希望する場合は、結果を別々の用紙に記載する。
結果の解析
データについては「感度」、「特異度」、「耐性適中率」、「感受性適中率」、「一致率」及び「κ指数」を計算し評価する。ここで感度とは、SRLNで耐性と判定した株を正しく耐性と判定する割合であり、特異度とは同様にSRLNで感受性とした株を正しく感受性と判定する割合である。耐性適中率とはある菌株を「耐性」と判定した時、その判定が正解である確率であり、同様に感受性適中率とはある菌株を「感受性」とした時の正解率である。一致率は基準判定との一致の割合を示す。
解析結果については個々の解析が終了した時点(結果報告直後)で各施設に個別に通知する他、参加全施設の結果を総合した報告書を作成・通知する。また、AMEDに対して研究成果として報告する。総合報告書あるいは研究報告書では施設名を匿名化し、個々の施設が特定されないようにする。
経費
パネルテスト検体の準備および送付にかかる費用は当該研究費から支出する。本研究に関して参加施設から費用を徴収することはない。ただし、各施設での薬剤感受性試験の実施に掛かる費用は各施設の負担とする。
被検菌の処理
被検菌については、各施設にて検査終了後廃棄するものとする(譲渡不可)。
参加証の発行
結核研究所名にて、薬剤感受性試験外部精度評価に参加したことを認める証明書を発行する。尚、参加証の発行は基本的に結果の報告を受けた時点で行うものとする。
申し込み方法
以下の情報を添えて、結核研究所抗酸菌部・御手洗聡宛て電子メール(eqadst2016@jata.or.jp)で申し込む。
施設名:
所属:
担当者名:
住所(被験菌送付先):〒
電話:
FAX:
E-mail:
連絡先
経費削減および迅速性確保の観点から、連絡には電子メールを使用する。
実施責任者:御手洗 聡(みたらい さとし)
結核予防会結核研究所抗酸菌部
〒204-8533 東京都清瀬市松山3-1-24
TEL: 042-493-5762(直通) FAX: 042-492-4600
e-mail: eqadst2016@jata.or.jp
その他
試験の安全性に配慮し、感染症法の定める結核菌取扱基準を満たしている施設のみ参加可能とする。
今回の外部精度評価試験は、日本結核病学会とは無関係である。