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横浜市で2000年2月からDOTS開始

横浜市南区福祉保健サービス係長
朝倉きみ子

 

 横浜市では、周囲250平方メートル四方の地域にいわゆるドヤと呼ばれる90軒以上の簡易宿泊所が立ち並び、約六千人が住んでいます。
 平成10年度のこの地域の全結核罹患率は約1700で、全国の52.5倍であり、ここ15年間ほぼ変化が見られず、超高蔓延状態が続いています。その原因は、結核治療が開始されても排菌したまま自己退院をしたり、通院中断をする患者が多く、感染源がなくならないことであると思われます。そこで、この地域の患者の治療中断防止と治療完了率を向上することを目的として、DOTS事業が開始されました。
 横浜市DOTSの形態は、入院中に院内で完全にDOTを行い、退院後はこの地域にある診療所で通院DOTを行うのを基本として、治療完了を目指すものです。平成12年3月現在、6人が通ってきていますが、アルコール依存症を合併している人が多く、診療所の医師や看護婦を手こずらすことも少なくありません。今までだと、アルコール依存が原因で自己退院をしてしまえば、治療中断に至るケースがほとんどでしたが、この事業の発足によりそれを防ぎ、一例でも多く治療完了まで導くことができると思われます。
 先日、保健所の呼びかけで、保健(市衛生局、保健所)、医療(国立療養所南横浜病院、寿診療所)、福祉(中区保護課、寿生活館)の関係者が集ってIさんの処遇検討会を開きました。Iさんは入院は2週間が限度。排菌を持続したままアルコール依存症と重症の肝臓病を合併しており、入退院を繰り返しています。現在東京と横浜間を行き来しており居所不明です。この地域には処遇困難ケースが多いため、今後は関係者が集まりお互い「何ができるか」、「関係機関がどう連携を取り合えば、治療完了まで導けるか」という問題に対して知恵を出し合い、関係機関の連携をより密にすることが、大きな鍵となると思っております。


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Updated 00/08/11