目次

1 検査 2 BCG 3 治療 4 接触者健診 5 外国人患者への対応 6 制度に関する質問 7 結核菌の消毒・保管・運搬

          


 7.結核の消毒、保管、運搬
 (1) 消毒
   ➢ 結核患者が使用した部屋の消毒
  
   結核患者が使用した部屋の消毒等はどのようにすればいいですか?  
  
   
   結核は飛沫・空気感染であるため部屋の換気を十分にし、部屋の清掃は通常行っている
   方法で実施して下さい。
   厚労省の通知「医療施設における院内感染(病院感染)の防止について」では、手が頻
   回に接触する環境表面は定期的な清掃もしくはアルコールによる消毒となっています。
   詳しくは厚労省ホームページへ →
   http://www.mhlw.go.jp/topics/2005/02/tp0202-1.html



   ➢ 結核患者(疑い患者含む)に使用した器具の消毒
  
   結核患者(疑い患者含む)に使用した気管支鏡や手術器具の消毒は、どのようにすれば
   いいでしょうか?  
  
   
   
手術器具等、他の患者の無菌の体内部位に直接接触する器具には滅菌操作を行います。
   患者の粘膜に接触する器具(気管支内視鏡、喉頭内視鏡、挿管チューブなど)は、湿式
   低温殺菌法、化学消毒、加熱消毒による高レベル消毒が必要です。気管支鏡は手作業の
   不十分な消毒による結核菌感染も報告されており使用ごとの自動洗浄(消毒時間の短い
   フタラール製剤を用いることが多い)が一般的です。リネン、食器については、通常の
   洗浄で差し支えありません。



 (2) 菌株の保管等
   ➢ 追加試験のための結核菌の保存
  
   多剤耐性結核菌や多剤耐性結核菌以外の結核菌を追加試験のために保存するためにどう
   したらいいでしょうか。  
  
   
   ≪平成26年11月21日に「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律の
   一部を改正する法律」が公布され、平成27年1月9日に「感染症の予防及び感染症の患者
   に対する医療に関する法律の施行に伴う関係政令の整備等に関する政令」が公布され、
   平成27年5月21日に施行されました。これにより三種病原体に分類される多剤耐性結核菌
   の定義が変わりましたのでご注意ください。≫
   多剤耐性結核菌の一部(いわゆる「超多剤耐性結核菌」に相当する耐性結核菌)は感染
   症法の特定病原体等管理規制における三種病原体等に、それ以外の結核菌は四種病原体
   等に該当します。各病原体ごとに規定されている施設の基準及び保管等の基準に従わな
   ければなりません。
   ※三種病原体等に分類される多剤耐性結核菌の定義
   イソニコチン酸ヒドラジド、リファンピシンその他政令(令第1条の4)で定めるもの
   (オフロキサシン、ガチフロキサシン、シプロフロキサシン、スパルフロキサシン、
   モキシフロキサン又はレボフロキサシンの何れかに耐性、かつ、アミカシン、カナマイ
   シン、カプレオマイシンの3種類の薬剤のうち一種以上)に耐性を有するもの。



   ➢ 保健所への結核菌譲渡までの保管
  
   保健所が結核菌を取りに来るまで、検査室での保管はどうしたらいいでしょうか?
   また、同様に多剤耐性結核菌の保管はどうしたらいいでしょうか?  
  
   
   
保健所から「取りに行きますので保管しておいてください」と言われている場合など、
   一時的な保管の際には、結核菌の入った密封容器を保管庫に入れて、保管庫は施錠して
   保管してください。あらかじめ譲渡することが決まっていれば、三種病原体等に該当す
   る多剤耐性結核菌であっても届出の必要はありません。なお、譲渡までの期間は定めて
   おりませんが、遅滞なく実施することとされています。



 (3) 結核菌の運搬
   ➢ 三種病原体等に定義される耐性結核菌の運搬
  
   三種病原体等に定義される耐性結核菌は運搬できますか?  
  
   
   三種病原体は、事業所の外へ運搬する際には各都道府県の公安委員会に運搬の届出を
   行い、運搬証明書の交付を受ける必要があります。詳しくは厚生労働省のHPを参照し
   てください。
   
   「特定病原体等の安全運搬マニュアル」
   http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou17/pdf/03-34.pdf




   ➢ 多剤耐性結核患者の喀痰運搬の届出
  
   多剤耐性結核症と診断された患者の喀痰も、運搬時には公安委員会への届出が必要でしょ
   うか?
  
   
   
臨床検体や感染症に罹った患者は、感染症法でいう特定病原体等の対象外です。そのた
   め、公安委員会への届出は必要ありません。



   ➢ 三種病原体等に定義されない結核菌(四種病原体等)の運搬
  
   三種病原体等に定義されない結核菌(四種病原体等)を送ることができますか?
  
   
   
内国郵便約款によって、官公署、細菌検査所、医師又は獣医師が差し出すものを除き、
   生きた病原体及び生きた病原体を含有し、又は生きた病原体が付着していると認められ
   る物は郵便物として差し出すことができないと定められています
   郵便事業株式会社のゆうパックによる検体の送付については、一般の民営の宅配便の利
   用と原則的に同様の規定であり、 世界保健機関策定の「感染性物資の輸送規則に関する
   ガイダンス」等において必要とされている通常の輸送条件の下での包装方法・包装要件
   に加えて、「ゆうパックを利用して検体を送付する場合の包装に関する遵守事項」に基
   づいて、安全性を担保するための更なる厳重な措置が規定されております。

   「ゆうパックを利用して検体を送付する場合の包装に関する遵守事項」
     http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou17/pdf/120323-02.pdf

   「特定病原体等の運搬に係る容器等に関する基準」
     http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou17/pdf/03-59.pdf


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