目次

1 検査 2 BCG 3 治療 4 接触者健診 5 外国人患者への対応 6 制度に関する質問 7 結核菌の消毒・保管・運搬

          


 4.接触者健診
   ➢ 航空機内接触者健診基準(接触8時間以上)の適応
  
   航空機内では、接触者健診実施の対象者について、8時間以上の接触が基準となってい
   ますが、それ以外の場合でも、接触状況の基準に8時間以上の接触があったかどうかを
   適応することができるでしょうか?  
  
   
   WHOの「航空機旅行における結核対策ガイドライン」では、航空機内に8時間以上、同
   乗していた場合、結核の感染リスク増大の可能性ありとの見解が掲げられていますが、
   最近の旅客機は空調システムにHEPAフィルターが装着されており、1時間に6~20回の頻
   回の換気を行い、換気の際の気流は天井から床の一方向に限られているため、この基準
   をそのまま航空機以外の事例に適応できるとは限りません。
  「接触者健診の手引き 改訂第5版」においても、航空機内での8時間以上という基準は、
   最近の旅客機の良好な空調システムを念頭に置いたものであり、換気が不十分な部屋等
   での接触、あるいは医療現場での接触の場合は、短時間でも濃厚接触と判断すべき事例
   があるので、環境面を含めてより慎重に評価する必要があると述べられています。



   ➢ 学生の結核患者における学校への連絡と協力要請
  
   同じクラスの生徒数名の結核感染診断から学校内での感染を疑う場合、学校への連絡と
   協力要請の必要性について教えてください。  
  
   
   
一般に若年者の集団に複数の発病者・感染者が発見された場合、保健所は、感染源の発
   見や感染拡大防止の目的で感染症法に基づく接触者健診の実施の検討が必要になると思
   われます。接触者健診を実施するにあたって学校の協力が必須であるため、保健所は保
   護者に十分説明した後、学校長へ連絡することが望ましいと考えます。



   ➢ 再発患者の接触者への再接触者健診
  
   再発した患者の再接触者への2回目の接触者健診について教えてください。  
  
   
   
再発した時の排菌状況と接触状況から感染の可能性を検討し、接触者健診の必要性につ
   いて検討することとなります。前回の接触者健診においてLTBI治療の対象となった方で
   も、ツ反での感染診断であったために未感染であった可能性がある場合には、IGRA検査
   の適応も検討することになります。
   また、結核感染の既往がほぼ確実であっても、免疫を低下させる疾患を有する場合や免
   疫抑制作用のある薬剤を使用している場合、高齢で体力が著しく低下している場合等は
   再感染の可能性もあるので、慎重に検討した上で対応を進めることが必要となります。



   ➢ 結核患者との接触後3ヵ月以上経過した場合
  
   結核患者との接触後3ヵ月以上経過した場合の接触者健診において、IGRA検査とLTBI
   治療の意義はありますか?  
  
   
   
IGRA検査はウィンドウ期を考慮して、結核患者との最終接触から2~3ヵ月後の検査が
   推奨されています。結核感染後の発病のリスクは、最初の2年間が高いので、3ヵ月以
   上経過した場合であっても2年以内ならばIGRAを実施して、LTBI治療を行う意義はあ
   ると思われます。
   また、「接触者健診の手引き(改訂第5版)」では、患者との最終接触から2~3ヵ月
   後の健診の結果、接触者集団の結核感染率が極めて高いことが判明した場合、患者との
   最終接触から6ヵ月後にIGRA の再検査の実施を推奨しています。



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