ソロモン諸島国結核移動セミナー

 1月25日〜2月7日/ソロモン

 

結核研究所 研修部

 医学科長 星野斉之

地元新聞掲載

★はじめに

 ソロモン諸島国の結核対策に対する日本の技術協力は、1991年に始まるPHC推進プロジェクトの一分野として行われ、人材育成、疫学的調査や結核対策のシステム作りなどに多くの成果が得られました。

 

★結核対策レビュー

 1997年における年間登録患者数は270人で、その40%を塗抹陽性患者が占めます。全結核登録率は、人口10万対70で、患者発見率は50%程度と推定されます。DOTS導入(1996年)後の治療成績では、治癒率はやや低い(51%)が、治療完了率(31%)を合わせた治療成功率は80%を超えます。脱落率は低い(1.6%)のですが、死亡率が高い(9.7%)状況です。治療完了率が高い要因としては、入院させて直接監視下に行う初期強化治療と患者教育、州結核担当管と医療機関間の連携、結核対策中央部における患者情報の集中管理があげられます。課題として、維持治療期における服薬監視の不徹底、塗抹陽性患者の治療完了時における低い喀痰検査受診率、高死亡率があげられます。 

 

★結核ワークショップ

 登録患者の疫学的分析と治療結果の分析を行い、次いで今回のレビューの知見を報告しました。その情報をもとに、入院中の治療、退院後の患者管理、監督と記録報告体制、菌検査などの課題について、今後1年間の行動計画をまとめました。それには、治療完了時の喀痰検査、維持治療期における服薬管理、州病院で行われた塗抹検査の品質管理、接触者検診と予防内服などが盛り込まれました。

 

★まとめ

 結核対策担当者の長年の努力とプロジェクトを通じた技術協力が実を結び、同国の結核対策は大きく前進しています。今回、結核予防会がその歩みに協力できたことの意義は大きいと確信しています。なお、ソロモン国のプロジェクトの成果については、石川信克結核研究所副所長により本誌251号(1996年)に詳述されていますので、御参照下さい。

ソロモンでの
下内国際協力副部長と
星野医学科長

 


Updated 98/04/22