結核菌挿入断片IS6110をプローブとした結核の分子疫学
結核研究所細菌学科 高橋光良
1.はじめに
 ワトソンらが1950年代半ばに始めたDNA の二重らせん構造を発表するまで、遺伝学は未知の学問であった。今日では、分子生物学の急速な進歩と共に遺伝子診断や遺伝子治療などの言葉が日常生活の中で聞かれるようになった。結核菌では、迅速診断法の開発、ワクチネーションに関与するタンパク質のエピトープの解析、特異的なDNA を用いたISタイピング、および特異的なRNA を用いたリボタイピング等に利用されるようになった。ここでは、ISタイピングとして用いられている結核菌由来IS6110をプローブとした結核の分子疫学の始まりから各国で行われた評価について総括する。
 

2.ISとは

 ワトソンのDNA 二重らせん構造の発表以来、細菌においては、接合、導入、形質転換などの現象が遺伝学的方法によって証明がなされた。この多くの知見の中から、1960年代後半に大腸菌やファージのガラクトース・ラクトースオペロン内に特定の長さの DNA 断片が挿入された強い極性効果を引き起こす変異が見いだされた。次いで、同様の性質を示すが相同性の異なる数種類の配列が発見され、ISと総称された。また同時期に、薬剤耐性因子( R因子) が染色体上のある部分から他の部分へ移動することが発見され、この因子はトランスポソンと命名された。1976年に2000塩基対以下のDNA 配列をISエレメントと呼び、それ以上の大きさで薬剤耐性因子などのマーカー遺伝子を含むものをトランスポゾンとした1)が、現在では、ISとTnの共通性が明らかとなり、総称名としてトランスポゾンと呼ばれ、この転位可能な遺伝子は真核細胞から原核細胞のほとんどの種の染色体上に見られている。
 一方、1980年代後半から染色体上に比較的安定でランダムに挿入されたISエレメント、染色体上に散在するribosomal RNA をコードする遺伝子、染色体上の繰返しエレメント等を標的としたRestriction fragment length polymor-phisum(RFLP) 分析が行われるようになった。これらの分析方法は、疫学のための感染源追跡に有力な手段となっており、現在では、分子疫学と命名されている学問にまで発達している。
 

3.結核菌のIS6110を用いたRFLP分析法の始まり

 1985にヒト由来DNA の遺伝子座に複数存在するミニサテライト部位を用いたRFLP分析が行われ2)、親子鑑定、血液鑑定などに用いられている。その後、1980年代後半に多くの細菌でRFLP分析がなされた。一方、結核の分野では遺伝子診断や遺伝子発現等に作られた遺伝子ライブラリーのDNA 中に1987年McFadden らによってM. paratuber-culosis とM. avium complexを区別するマーカーでRFLP分析が行わた3)。一方、結核菌では1989年Zainuddin らによって多形性を示す繰返しDNA 配列が発見され、IS986 と命名された4)。また、同時期にThierry らも結核菌由来の挿入配列IS6110を報告した5)。これらのISは、数塩基の違いで同一塩基配列であることからIS6110に統合された。1990年にHermans らは、このIS6110をプローブとしたRFLP分析から、結核菌の疫学や診断のための手段に利用できうることを報告した6)
 

4.結核菌の疫学的解析に用いられる分析法

表1 結核菌の疫学解析に用いられる
種々分析法の比較
 結核菌の型別では、表現型の薬剤感受性試験、ファージ型別が用いられてきたが、その宿主の幅が限られていた。近年遺伝子を用いた方法による型別が可能になった。表1にそれらの検査法についてまとめた。遺伝子を用いた型別は二つに大別される。一つは超感度のPCR 法であるが、その欠点として疑陽性が出現する。他方は、DNA 制限酵素断片を電気泳動後に検出する方法で操作が煩雑で長い時間を要するが、利点として高い特異性が得られる。結核菌の疫学的手法としては ISタイピングが確立されている。
 

5.RFLP分析に用いられる結核菌由来のマーカー遺伝子

 結核菌由来IS6110に次いで、表2に示すようなマーカー遺伝子が多く発見された。マーカー遺伝子は大別して二通りあり、一つは個々の菌の分別に利用される。他方は菌の変異度を確認する方法としてIS6110でコピー数の変異度が限られている株の分別等に用いられる。下記に各々の特徴について述べる。
表2 結核菌群にみた挿入配列(IS)と
繰り返し配列
 

1)IS 6110

 結核菌のIS6110は、McAdamらによって発見されたIS3ファミリーに属するIS6110 は1358bpで、その両末端に30bpの逆繰り返し構造を持っている。また、薬剤耐性遺伝子やトランスポゼースを持たない転位可能なISで培養継代、動物継代してもそのパターンが変化しないことが示された6)。文献的には結核菌臨床分離株の染色体上にランダムに存在し、PvuII 制限酵素断片で0〜25コピー検出される。しかし、IS6110 コピーを持たないものや数コピーしか持たない株も存在する7、8) 。さらに、薬剤感受性株と薬剤耐性株の間でRFLPパターンに変化がないことが示された6、9)。一方、M.bovis はIS6110の1〜6 コピーを含んでいる。またM.bovis BCG 株はpasteur 、Glaxo 、Sweden、 Copenhagen 、Tice、株は1本でMoreau、 Russian、 Tokyo株は2本のISコピーを含んでいる9 、10) 。このコピー数の変異とPPD タンパク質との相関についても報告されている10)

2)IS 1081

 Collins らによってM.bovis 特異的DNA 配列から発見され11) 、Staphylococcus aureus から分離されたIS256 と相同性がある。このIS1081は長さ1324bpで15bpの逆繰返し構造を持っており、結核菌群とM.xenopiに相同性を示す。このIS1081は染色体上のPvuII 断片部分に5〜7 コピー含まれており、主に結核菌とM.bovis BCG の区別のために使用される12)

3)IS myco

 Mariani らによって1993年に発見された13) このISは長さ968bp で17bpの逆繰返し構造を保有している。結核菌群にのみに1コピー含まれることから他の非結核性抗酸菌との区別の際に用いられている。また、数種の菌から分離されたトランスポゾンと相同性を示すが、その機能や性状については未だに不明である。

4) DR配列

 Hermansらにより1991年に発見された14)DR配列は染色体上に36〜41bpの長さで繰返しのエレメントで、結核菌群のみに10〜50コピー検出される。結核菌のIS6110はこのDR配列中に一つあるいはそれ以上のコピー数が含まれている。また、IS6110の1.8kbpのPvuII断片を1本のみをもつM.bovis BCG とアジアやアフリカにみられる1本のみをもつ結核菌は、このDR配列の中にIS6110の単一断片が潜伏することから´Hot spot`部位と呼ばれる部位を保有している。その後、Soolingenらにより制限酵素AluI断片でのRFLP分析が行われた結果、単一のIS6110をもつ結核菌群で数本のコピー数の変異が見いだされ、1本のコピー数を保有する菌の分別のために使用されるようになった。

5)MPTRs

 Hermans らによって1992年に発見された15)。このMajor polymorphic tandem repeats(MPRTs) 配列は10bpの繰り返し配列で独特な5bp の間隔を持っている。この10bpの繰り返しはそれぞれ塩基配列が異質であるが、少なくとも5bp の共通配列を保有している。また、大腸菌のChi 遺伝子と呼ばれる組み換えのシグナルとrepetitive extragenic parindrome(REP) と相同性があり、結核菌群、M.gordonae、 M.kansasii 、M.asiaticum 、M.gastri、 M.szulgaiに検出される。結核菌の染色体上に100 コピー以上の多形性を示すが、一般的には菌の分別には使用されていない。

6)PGRS

 Rossらによって1992年にプラスミド上に存在する結核菌からの組み換え遺伝子中に発見され16)、porimorphic GC-rich repetitive sequence(PGRS) と命名された。この配列は30bpの長さの繰り返しで、結核菌群、M.kansasii、 M.gastri 、M.szulgaei相同性を示す。また、結核菌群でのコピー数は100 以上であり、IS6110の単一コピーの菌株や動物由来のM.bovis 株のための疫学的手段として用いられている。しかし、その多形性を示す機構については不明である。
 

6.DNA の抽出、精製および検出方法17)

 周知のように抗酸菌はその細胞壁に厚い脂質を含むバリヤーで覆われているためにDNA の抽出が難しかった。また、この菌の感染経路が空気により伝染するために抽出操作が繁雑な遺伝子実験には二重苦であった。しかし、さまざまなDNA 抽出方法が開発され、遺伝子を用いた実験を可能にした。図1に筆者らが行っている結核菌のDNA の抽出、精製の変法および検出方法について模式図を示した。
図1 RFLP分析の
操作手順の概要
 結核菌の培養にはmodified Middle- brook 7H9 brothを用い、対数増殖後期(2〜3 週間) の培養液中にグリシンとサイクロセリン並びにエタンブトールを加え、さらに24時間培養する。遠心法により集めた菌体をTris-HCl-EDTA(pH8.0)溶液に懸濁後、リゾチーム―SDS ―フェノール法によりDNA を精製する。プローブとしてIS6110由来245bp のPCR 産物を用いる。プローブはオリゴラベリング法のビオチン化―dCTPの取込みでビオチン標識する。また、DNA の検出は化学発光システムを用いて行う。精製結核菌DNA を制限酵素PvuII で消化後、0.8%アガロース電気泳動、ナイロンフィルターへの転写、UV固定を行い、次いで65℃、3 時間プレハイブリダイゼーション後ランダムプライマー法により合成したビオチン化プローブDNA を加え、65℃で15時間ハイブリダイゼーションを行う。このフィルターを洗浄後、アルカリホスファターゼ標識ストレプトアビジン液と室温で15分間反応後、化学発光物質を加えX 線ファルム上でバンドを検出する。
 現在、RFLP分析の国際基準が標準化されており、プローブはIS6110の246bp のPCR 産物を用い、内部標準DNA 分子量マーカーとしてHaeIII消化φX174 とPvuII 消化Supercoiled ladder DNAを使用する18)。このようにして結核菌のRFLPパターンを用いてクラスター分析を行う。
 

7.世界各地で報告されたRFLP分析からのIS 6110コピー数分布と感染状況

 IS6110と他の配列を遺伝子マーカーとしたRFLP分析を用いた分子疫学から結核対策上の評価や感染様式の解析が行なわれ、疫学的な裏付けのための強力な武器となっている。現在までに数十か国で施行され、結核の感染状況が解析されている。下記にその報告例を簡単にまとめた。
 1991年にSoolingen らは中央アフリカの三つの国(ルワンダ、中央アフリカ、ブルンジ)とオランダの事例を比較した19)。その結果、結核まん延国の多い中央アフリカでは無作為に分離した患者分離222 株中にIS6110の数が1 〜19コピ−みられ、主に6 〜 15 コピ−含まれている。このように、限られた型のパターンが数多く検出されピークを形成しているのに対して、結核の先進国であるオランダでは類似性のないパターンで多形性を示し、ピークを形成していないことを報告した。このことはアフリカ諸国ではまん延状況下を意味しでおり、またオランダでは結核が鎮静化していることを意味している。また、クラスター分析から、オランダと中央アフリカの結核菌との比較では低い相関関係であった。
 1993年Soolingen らはインドの南部で分離した63株の結核菌について五つの遺伝子マーカー(IS6110R、 IS6110L、 IS1081 、DR、 PGRS)を用いて分析した8)。その結果、国際的マーカーであるIS6110R をプローブとした実験から63株中21株が単一のバンドを保有しており、20株が1.5kbpの同一のバンドであった。残りの多形性を示した株は同一のバンドではなかった。しかし、この63株中32株に1.5kbpのバンドが含まれていた。この単一バンドを示す菌の分別のために他の四つの遺伝子マーカーを用いると、IS6110L とIS1081は有効性が低かったが、DRと PGRS 配列をプローブとした菌の分別では有効性が認められた。この評価の成績は、後に、M.bovis 株でのRFLP分析のトライアルに利用されている。
 1993年Chevrel-Dellagi らはアフリカのチュニジアの三都市からの結核菌201 株のRFLP分析で感染源追跡調査を行なった20)。IS6110のコピー数は1 〜14本で、9 本にピ−クがみられ、6 本以上の株が95% を占めていた。このことは上記のSoolingen らか報告したようにアフリカでは結核がまん延状況であることを示唆している。また、このトライアルでは三都市間に同一パターンの菌による感染が認められた。一方、同一パターンの一本のみ異なる菌株から単一コロニーを分離して分析すると、個々のコロニー間に一本のバンドの欠失が認められた。このことは、比較的安定なISであるが、転位による欠失だけでなく、付加、重複も生じることを意味している。しかし、M.bovisBCG株の継代や多くの研究成績からみると、このISの安定性は非常に高い。
 1994年Yangらはグリーンランドとデンマーク間での結核菌の播種について分析した21)。その結果、デンマーク在住のグリーンランドからの移民の患者から分離した結核菌およびグリーンランド在住の患者から分離された結核菌を用いてデンマークの結核患者のパタ−ンをクラスター分析すると、移民のRFLPパターンと母国での流行株の間に高い相関がみられた。また、デンマークの結核患者から分離された245 株においても高い相関がみられ、移民からの結核菌の広がりを監視するための手助けとなることを示した。
 1995年Torreaらはフランス領ポリネシアで1991年と92年の間で分離された結核菌64株を分析した22)。その結果、64株中 38 株が異なるRFLP型で、クラスター分析では11群であった。コピー数の分布は、4 〜21を示し、平均11コピー数であった。また、64株中55株が4 〜13コピーを示し、アジア地域にみられる1.5kbpの1本のバンドを示す菌株は検出されなかった。さらに、分析から類似性のパターンが多く、ポリネシアの結核の現状は再燃のみでなく、活動性結核の播種による感染が存在することが示された。
 1995年 Huhらによって韓国の41株について分析が行なわれた29)。コピー数の分布は1 〜13本で、41株中61% が9 〜10本のバンドであり、結核の有病率の高い韓国のコピーはヨーロッパの患者からの分離株よりもコピー数の変化に乏しく、分離株間の類似度が高いことが示された。このことは、韓国では結核がまん延状況下であることを示している。
 1995年Soolingen らが東アジア(中国49株、モンゴル20株)の合計69株について分析した24)。その結果、IS6110のコピー数は15〜20本のパターンが多かった。また、両国で分離された結核菌のIS6110、DR、 PGRS によるRFLPパターンは限られており、69株中52株の結核菌に遺伝学的に類似性が高いことが示され、北京ファミリーと命名された。このファミリーは世界中にも点在して発見されるが、特に大陸に沿ったタイ、韓国に広がっていた。さらに興味あることに、前回の研究から、BCG が一般化していないエチオピアは BCGが一般化しているチュニジアより有病率が5 倍高く、チュニジアよりも多くの多形性を示すことを報告している25)。北京ファミリーの限られたDNA の多形性とこのチュニジアでの限られた多形性との共通因子がBCG ワクチン接種であると報告している。実際に、東南アジアでも20〜60年間BCG のワクチネーションが行なわれており、この限られたDNA の多形性はBCG による誘導免疫に抵抗性の結核菌が選択されたのかも知れないと推論している。
 日本の結核化学療法研究協議会で全国から集められた結核菌患者分離株を分析した結果、IS6110コピー数の分布は1 〜19本の間であり、コピー数が1 本と11本にピークが認められた(図2)9)。全国的には多形性が認められ(図3)、同一地域内での患者分離株中には多くの類似パターンがみられた(図4)。これは、IS6110の転位に付加、欠失、重複といった遺伝的学的な差があり、アフリカ諸国にみられた限られた多形性のパターンでピークを形成している様相とは明らかに異なっていた。これらのことは、日本ではオランダと比べてもまだ罹患率が相対的に高いことを意味しているが、日本の場合1940年代の結核まん延時代に感染を受けた若者が既感染者となる年齢に達したことに加え、感染の曝露を受けた世代の急速な高齢化から高齢者の結核が増大したと考えられており26)、コピー数分布中に見られたピーク形成はこの影響を強く受けているものと考えられる。
図2 1988年と1992年度に分離された
結核菌のIS6100のコピー数の分布
 図3 日本全国から集められた
結核菌のRFLP分析
 図4 関東地域と近畿地域から
分離された結核菌のRFLP分析
 図5 日本在住の外国人から分離された
結核菌のRFLP分析
   
 一方、結核まん延国からの外国人就労者が発端となった集団発生事例において国別に特異的なRFLPパターンが認められた27)ことから、外国で分離された結核患者分離株を分析した結果、外国株のRFLPパターンの比較から、それぞれの国の間に特異的パターンがみられ、近隣国では相同性のバンドが検出された。また、日本在住の外国人結核患者分離株から分析したパターンはその国のパターンと類似性が高い傾向であった(図5)。上記のように、Yangらはデンマークの分子疫学調査で、デンマーク、デンマーク在住のグリーンランド移民並びにグリーンランドの結核患者間でクラスター分析を行った結果、デンマーク在住のグリーンランド移民からの結核感染を立証した21)。また、これまでに上記に述べた解析中にも国により類似性の高いパターンが検出されている。このことは、国により特異的なパターンが保有されていることを示しており、筆者らのデータを裏付けている。近年、日本の大都市では外国人結核患者数が増加しており、その多くは20代から30代が多く26)、結核に未感染の若年層へ接触する機会も増加していると考えられている。したがって、RFLP分析は外国由来結核菌の分別が可能で結核菌の感染源追跡のための疫学調査に有効性が認められたことで、この分析法は国の結核対策に寄与することができるだろう。
 

8.遺伝子マーカーを組み合わせた動物由来M.bovis 菌の分別

 M.bovis 菌はIS6110のコピー数を1 〜 7本保有しているが、感染源追跡上必要な遺伝子の変異が不十分であった。しかし、DR配列、 PGRS 配列をプローブにした菌の分別が有効になった28、29、30)。この一連の研究からヒトと動物間で相関がみられている。特に、アジア地域にみられる1.5kbpのバンドを保有する株はM.bovis との相関が高いことが示されている。日本の結核患者分離株での分析ではM.bovis BCG Tokyo 株に特有1.7kbpと1.5kbpの2 本のバンドを保有する株はみられなかった。しかし、1〜7本保有している株も多く検出されることから、DR配列とPGRS配列等をプローブとした分別が必要である。
 

9.まとめ

 分子生物学の発展とともに多くの検査法が開発された。結核菌でも多くの検査法が開発され評価されている。その中に、疫学的追跡調査に用いられる結核菌由来挿入断片(IS)6110をプローブとしたISタイピングによるRFLP分析がある。この分析は、すでに各国で上記したような結核対策上の評価およびHIV患者間でのMDR-TBの播種の感染様式などの分析に用いられている。筆者らも日本の結核化学療法研究協議会参加施設から集められた結核患者分離株を用いて解析した結果、限られた多形性を示す株が多く見られ、罹患率が相対的に高いことが示された。しかし、日本の場合1940 年代に感染を受けた世代の急速な高齢化によって高いと考えられており、他国に見られる結核の様相とは違ってると考えられる。現在詳細な解析を行っている。

謝辞
RFLP分析では1991年度結核化学療法研究協議会参加施設の先生方に格別の御配慮を頂きました。ここに謹んで謝意を表し厚く御礼申しあげます。
 

共同研究者

森 亨、鹿住祐子、平野和重、深澤 豊、 阿部千代治 (結核予防会結研)

文献

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(出典)高橋 光良:結核菌挿入断片IS6110をプローブとした結核の分子疫学,資料と展望,17:43〜53,1996


Updated 98/03/20