中国が結核対策世界目標を達成


 中国政府衛生部の広報誌「健康ニュースネット」(健康報網)は2005年12月16日付で、中国が初めて結核対策の世界目標を達成したことを以下のように報じた。

本年結核対策目標を期限通り実現
DOTSの早期拡大後はさらに質的向上の必要あり

 この10日間内外の専門家から成る国家結核対策計画合同評価団が行ってきた我国の結核対策についての現場での監査と全国的な評価が完了した。合同評価団は、国際的に承認されている2005年結核対策世界目標を我国が既に予定通り達成したことを確認した。昨日、衛生部王隴徳副部長は調査団専門家から上記の報告を聞いた後、2005年目標の達成はさい先のいい端緒に過ぎず、中国は今後も全力を尽くして全国の結核対策のいま一段の強化に努める、と言明した。
 国際的に定められている結核対策世界目標とは、2005年までにDOTS(現行の結核対策戦略)の100%普及、70%以上の患者発見率、および85%以上の肺結核患者治癒率を達成することである。我国は各段階の政府の強力な合意と支持、ならびに経費・政策・施行などの多くの面での重要な確約を得て、これまで県単位で上記の目標を実現したのである。
 世界保健機関西太平洋地域医官のピーター博士は次のように語る。中国の結核対策は巨大な成果を挙げた。しかし、直面する課題もまた巨大なものがある。DOTSの早期拡大とともに質の一段の向上が必要である。現在までに2005年目標は達成したとはいえ、薬剤耐性結核対策、エイズと結核の二重感染、さらにハイリスク集団での対策など、なおも多方面の活動を強化しなければならない。

 中国はWHOの定める22の結核高負担国の第2位(1位はインド)にあり、発生患者数は世界の結核患者の15%、西太平洋地域の69%を占める。1990年代からWHOや世界銀行、日本や英国政府の支援のもとでDOTS戦略に取り組み、その成功は世界のDOTS拡大のモデルとなってきたが、患者発見率が2005年当初で40%台と今ひとつ伸び悩んでいた。しかし2005年に入ってから中央政府の強固な関与のもとで各省政府が俄然がんばり、この大目標の達成にこぎ着けたものである。これで世界目標を達成した高負担国はベトナムを含めて2カ国、またこれよって中国のみならず、西太平洋地域(フィリピン、カンボジア、ベトナムなどを含む)全体としても、他の5地域に先んじて世界目標を達成することが確実となった。
(結核研究所所長 森 亨)

updated 2006/1/25