第9回国際結核セミナー
「日本版DOTSの今後を考える」

平成16年2月26日/第一製薬ホール



宮崎県日南保健所地域保健課主任保健師
木添 茂子


 「日本版DOTSの今後を考える」をテーマに、第9回国際結核セミナーが開催された。
 午前の部は、英国の結核対策について2つの講演があった。まず、結核研究所国際協力部の大角先生が「英国の結核事情」と題して、英国では1980年代半ば以降結核罹患率が@国際人口移動による外国人登録者数の増加、Aホームレスの問題、BHIV合併結核率の上昇傾向、C人口の高年齢化などの理由で、減少鈍化から上昇傾向にあるという内容で講演された。
 次いで英国のジョセフ・ピーター・ローワン(Mr.Joseph Peter Rowan)結核専門保健師が「ロンドンにおける結核対策」と題して大角先生の通訳により講演された。ロンドンにおける結核対策は、患者40人に対し1人の結核専門保健師が保健サービス機関やNHS病院に配属され患者を管理している。結核菌検査は抗酸菌検査センターで行い、結核と診断されると保健師に伝えられ、保健師は直ちにTBクリニックを紹介し治療が開始される。治療にあたっては治療内容、治療経過、治療期間を徹底的に説明するとともに、服薬遵守のため月1回患者と会って支援し、服薬終了まで見届けているなど、患者発見から治療終了まで細かく支援する体制についての紹介であった。
 午後の部は、結核研究所対策支援部長の加藤先生が「DOTS拡大戦略−世界そして日本−」と題して、症状のなくなった患者にとって服薬を継続することは難しいので、知識だけでなく支援が大事であり、DOTSが必要であることを話された。また、DOTSを提唱したのが日本の古知新先生であることやペルー、中国、ニューヨーク、フィリピンでのDOTSの効果等について講演された。
 この後、「世界に誇れる日本版DOTS戦略の拡大をめざして」を題目として@院内DOTSを実践している愛知県大同病院、市立秋田総合病院、A病院保健所間連携を構築している国立療養所南京都病院、愛知県知多保健所、B地域DOTSを実践している中で地域サービスを活用した結核予防会渋谷診療所、調剤薬局を活用した結核予防会複十字病院からの報告があり、さらに、沖縄県中部保健所から結核予防婦人会を活用した追加発言があった。これらは、DOTSを計画する際に参考となるものであった。
 終わりに結核研究所の小林保健看護学科長が、患者を治療成功にもっていくためには保健所と病院との連携は不可欠であり、病院からバトンを渡されたら地域ではしっかり引き継ぐことが大事であるとまとめられた。加えて、結核予防会顧問島尾先生より、@DOTSを提唱した古知新先生の名前を覚えてほしいこと、ADOTSのやり方は色々あるが「見守り」が基本であること、B3ヵ月以内の死亡が50%あることはコホートを通して改善の余地がある、C2000年の九州・沖縄サミット会議で当時の森首相が結核対策の強化を提言したなどの話があり、閉会となった。


Updated04/08/11