平成15年度地区別講習会実施報告


 今年も結核予防技術者地区別講習会が全国7ブロックで開催されました。本講習会は、各都道府県の特対事業の実績報告、相互検討及び専門家による講義の場を設けることにより、結核地域格差の解消と一層の結核対策の推進を図ることを目的としています。
 各ブロックの担当県の方に、実施模様の報告をしていただきます。


北海道地区
東北地区(秋田県)
関東甲信越地区(神奈川県)
東海北陸地区(富山県)
近畿地区(奈良県)
中四国地区(山口県)
九州地区(沖縄県)


北海道地区

北海道保健福祉部疾病対策課
感染症グループ主任
佐藤 ふみ子

 平成15年度の結核予防技術者北海道地区講習会では、9月2日、3日の2日間にわたり、札幌市内で開催いたしました。北海道は毎年単独ブロックで開催していますが、本年度も保健所をはじめ各市町村や健診機関、医療機関から約180名の参加があり、結核に対する意識の高さが伺われました。
 1日目、合同講義では結核予防会結核研究所の石川副所長から「結核対策における患者支援強化」をご講義いただき、DOTSをはじめとする患者支援の重要性を解説いただきました。受講者の中でも、特に保健師の方々が熱心にメモを取っている姿が印象的でした。
 午後からは職種別分科会を開催しました。【医師】は結核研究所和田研究主幹、【診療放射線技師】は同対策支援部放射線学科星野科長代理、【保健師・看護師】は同保健看護学科永田科長代理と、それぞれの専門分野について最新の知識・情報を盛り込んだご講義をいただきました。
 2日目は石川副所長から「新しい予防接種・学校健診」について、厚生労働省健康局結核感染症課の神ノ田補佐から「結核対策の現状と展望」について、それぞれ講義をいただきました。特に今年度から変更になっている学校健診については、現場での疑問など受講者から質問が相次ぎ、大幅に終了時間を超えてしまいました。今回、各講義とも、質疑応答により多くの時間をかけるように取り組んだことで、日頃の疑問などが解消され、参加者にとって有意義な場となったと思います。



東北地区

秋田県健康福祉部健康対策課
疾病対策班主査
工藤 聖子

 東北地区の講習会は、7月3日、4日に秋田県で開催し、延べ423名の参加を得ました。
 結核対策の大幅な見直しの方向が示されているこの時期に、結核研究所から星野斉之先生、永田容子先生、複十字病院から尾形英雄先生、厚生労働省からは石川直子先生を講師として、最新の知見や結核予防対策の展望についてお話を伺うことができました。
 今回の講習会では患者支援のあり方、特にDOTS推進について各講師から説明があり、参加者にとって治療成功をめざすことの意義が十分認識できた内容であったと思います。
 また、各自治体からの事業報告では、@結核予防業務調査・検討会議(青森県)、A精神病院における潜在患者発見事業(宮城県)、B高齢者施設の結核等感染予防対策促進事業(山形県)、Cホームレス結核定期健康診断事業(仙台市)、D保健・医療・福祉サービス従事者結核予防研修事業(秋田県)の取り組みについて発表があり、各自治体の結核対策への意気込みを感じました。
 講習会終了後に開催した担当者会議では、結核研究所の星野先生、永田先生にも御出席いただき、@結核対策特別促進事業の財源確保の問題、ADOTS事業の取り組み、B結核診査協議会、C学校における結核対策等について意見交換を行いました。特にDOTS事業については、各県市ともに方策を模索しており、両先生からDOTS事業の取り組みについて貴重な助言を得ることができました。
 さらに欲を申し上げれば、「酒どころ秋田」にせっかくお越しいただきましたので、講師の先生や各自治体の担当の皆様と交流を深めるべく、一献傾ける場を御用意できたらよかったと後になり思った次第です。



関東甲信越地区

神奈川県衛生部保健予防課
エイズ・感染症対策班副主幹
松岡 勲

 平成15年度の結核予防技術者関東甲信越地区講習会は、神奈川県が担当県となり、7月24日、25日の2日間、横浜市内において県内外の医療機関、保健所、市町村等から約250名の参加を得て開催されました。
 今回の講師は、結核予防会から島尾顧問、結核研究所から伊藤主任研究員、小林保健看護学科長、また厚生労働省から石川予防接種専門官をお招きし、結核対策について専門的な立場から御講義いただきました。
 特対事業の評価・報告では、川崎市から「川崎市北部3保健所における結核コホート検討会について」報告していただき、当県からも「結核業務支援システム」、「治療中断者早期把握システム」の2つの事例について報告を行いました。それぞれ熱のこもった報告があり、講師の先生方からの助言も受け、活発な意見交換がありました。
 講習会終了後に開催した担当者会議では、事前に各自治体から寄せられた質疑事項及び各自治体の結核対策特別促進事業のうち、注目すべき事業を中心に議論を行い、結核病床、DOTS事業の取り組み(千葉県、川崎市の事例)、結核菌バンク(東京都、茨城県の事例)、退院後の服薬支援(茨城県の事例)、外国籍県民結核健康診断の健診方法(横浜市、川崎市の事例)、結核診査協議会の保留案件の扱い、ポータブル健診等が議題となりました。
 講習会に引き続き参加していただきた島尾先生、小林先生からも全国的な動き、専門的な視点から数多くのアドバイスをいただき、特にDOTS事業に関する各自治体へのアンケート集計結果の報告と分析は参考になりました。今回は取り上げるテーマを絞ったのですが、時間不足のため充分な討議に至らなかったのが、残念でした。



東海北陸地区

富山県厚生部健康課
保健予防係副係長
米道 暁彦

 東海北陸地区の結核予防技術者地区別講習会は、富山県が担当県となり、6月26日、27日の2日間、富山市において開催しました。
 講師には、結核研究所から森所長、吉山研究部長、中野放射線学科長、小林保健看護学科長の4名、また、厚生労働省からは国立感染症研究所の石川国際協力室長をお迎えし、ご講義をいただきました。
 26日午前の合同講義は、保健・看護学科等の学生にも参加の枠を広げたところ、結核について初めての講義だったのでとても参考になった、との声が聞かれました。
 午後は、医師、保健師・看護師、診療放射線技師の3会場に分かれて、それぞれの専門の講義がありました。
 2日目午前の合同講義は「新しい予防接種・学校健診」をテーマとしたところ、養護教諭や保健師等、多数の参加をいただき、関心の高さが伺えました。児童・生徒や乳幼児の結核対策が大きく変わりつつあり中、会場の参加者は真剣に聞き入っておりました。
 特別対策事業の報告・評価については、@結核対策強化事業、A結核集団感染事例報告、B富山県における最近の結核の動向、C老人保健施設における入所者の結核健康診断と題して、4例の報告がありました。高齢者の結核対策、療養型病院内の結核集団感染及び学校内の結核集団感染について、いずれも興味深い内容であり、結核研究所の先生方から貴重な評価・助言をいただきました。
 午後の合同講義は、「結核対策の現状と展望について」と題して、厚生労働省のお話を伺いました。結核対策が大きく変わりつつある中、参加者にとって、大変参考になったと思います。
 担当者会議では、定期外健診の進め方、患者管理のあり方、結核の学校健診についての関わり方等について活発な意見交換がなされ、結核研究所の先生方から貴重なアドバイスをいただきました。今後の業務に役立てていきたいと思っております。



近畿地区

奈良県福祉部健康局健康増進課
感染症係主査
酒井 温子

 近畿地区講習会は、奈良県が担当し、6月12日、13日に奈良市内において開催しました。
 4月頃よりSARS関連の業務で多忙となり、折しも各自治体からの参加申し込みや特対事業の報告依頼の時期に「台湾医師の観光」が重なり、近畿地区は大騒ぎになりました。その中、時間を工面して特対事業の報告に来ていただいたり、最終的には多数(実人員325名)ご参加いただけて、狭い会場は熱気で(蒸し暑い日でもありましたが)いっぱいになりました。講師には、結核研究所対策支援部宍戸副部長、複十字病院中島副院長、結核研究所対策支援部永田保健看護学科科長代理、同中野放射線学科長、厚生労働省健康局結核感染症課野原予防接種専門官をお迎えし、ご講義をいただきました。無地開催できて安堵しています。
 今回の開催で、工夫した点をご紹介します。
@県内医療機関への参加の呼びかけ
 結核対策には医療機関との連携が不可欠ですが、近畿地区は毎年行政の参加者が多く、会場の席数にも限りがあります。そこで、1日目午後の職種別講義では、参加者が3会場に分散するため席に余裕ができますので、この時間帯限定で県内医療機関に参加を呼びかけました。その結果、医師12名、放射線技師13名、看護師37名の参加がありました。また、講師には、このような参加者がいることをあらかじめお知らせし、講義内容を工夫していただきました。
A特対事業の報告・評価
 近畿地区では結核担当者会議は毎年3月に開催していますので、今回の講習会では、その時間帯も特対事業の報告・評価にあてました。2日目11:20〜12:30「特対事業の報告・評価Part1」では「結核対策事業の強化・発展」をテーマに近畿府県市所属の4名に、2日目15:20〜16:30「特対事業の報告・評価Part2」では「医療機関と保健所の連携・DOTS事業のひろがり」をテーマに3名にお願いしました。各自治体における実施方法や工夫等を具体的に教えていただき、大変参考になりました。



中四国地区

山口県健康福祉部健康増進課
疾病対策班主任主事
河野 千里

 平成15年度中国四国地区結核予防技術者地区別講習会は、山口県が担当県となり、6月5日・6日の2日間、山口市内において各県(市)の結核担当者や医療機関関係者等約140名の参加を得て開催しました。
 今年度は、結核研究所より星野企画・医学科長、御手洗細菌検査科長、永田保健看護学科科長代理、厚生労働省健康局結核感染症課より野原予防接種専門官をお迎えし、結核対策について、それぞれ専門的な立場から豊富な経験に基づいた貴重な講義をしていただきました。昨年「結核対策の包括的見直しに関する提言」が示され、本年4月には小中学校でのツベルクリン反応検査の廃止、新しい学校健診の実施と、まさに転換期にある結核対策の最新の情報、知識を得られる絶好の機会とあって、参加された皆さんは、講師の方々の一言一句聞き逃すまいと真剣に受講されていらっしゃいました。各講義とも数多くの質問が出され、終了予定時間をオーバーする程の熱のこもったものとなりました。
 2日目の特対事業の報告・評価では、鳥取県より「乳幼児BCG接種等に関する調査事業」「高齢者等に対する研修会」、愛媛県より「結核院内感染マニュアル」、下関市より「結核指定医療機関医師研修事業」、山口県からも「結核予防対策推進モデル市町村事業」について報告させていただきました。各県(市)の取り組み状況を知る貴重な機会となり、また、同席いただいた講師の先生方より的確な助言をいただき非常に有意義な場となりました。結核制圧に向けて今後の特対事業を企画・検討する上で大変参考になったと思います。



九州地区

沖縄県福祉保健部健康増進課
結核感染症係主任技師
新垣 さと子

 平成15年度の結核予防技術者九州地区講習会は、初めて海を隔てた沖縄県の担当となり、7月8日、9日の両日に宜野湾市において開催されました。
 今年度は、年度当初から国、各自治体がSARSに揺れましたが、7月の講習会までには何とか落ち着きを取り戻し、県内外の関係者約180名の参加を得て無事開催することができました。
 講師には、結核予防会の青木会長はじめ第一健康相談所の杉田所長、結核研究所対策支援部の永田保健看護学科科長代理、星野放射線学科科長代理、厚生労働省より石川厚生労働技官をお招きし、新しい結核対策について、それぞれの専門の立場から最新の知識、情報を講義して頂きました。
 2日目に行われた特別事業の評価・報告では、沖縄県中部保健所で、過去6年間の糖尿病合併結核患者の分析を行った結果について報告がありました。その結果から得られたことを、患者本人への指導の強化はもとより医療従事者向け、介護者向けの具体的な対策へと活用していることが報告され、データの活用のあり方等大変興味深いものがありました。
 また、大分県から「大分県の結核対策」について報告を頂きました。報告では、県の結核対策の課題として、@医療体制の整備、A結核の治療向上、B高齢者対策を三本柱とし、その解決に向け具体的な取り組みがされた結果、結核の指標の改善だけでなく、有形、無形の数多くの成果が得られています。中でも拠点病院と行政の連携は、新しい結核対策を推進するためには不可欠であり、当県でも大変参考になりました。行政の取り組みによりこれ程結核対策が改善をみることに、多くの人が感銘を受けた報告でした。
 担当者会議では、各県の「拠点病院と保健所の連携及びDOTSの取り組み状況」について情報交換を行いましたが、短い時間ながら今後の対策の強化を図るためにも有意義であったと思います。


Updated03/12/04