日本結核病学会保健・看護委員会が泊り込みで検討
「院内DOTS指針」

結核研究所対策支援部保健看護学科長
小林 典子(日本結核病学会保健看護委員)

 平成15年7月5日(土)・6日(日)に結核研究所において、平成15年度第2回日本結核病学会保健・看護委員会が開催され、「院内DOTS指針」の検討作業を行った。
 保健・看護委員会メンバーは、各地域の院内DOTS実施状況や担当者の意見等を持ち寄り、土日泊まり込みで討議を重ね実戦的な指針の作成に努めた。

これまでの経緯

 1994年国際結核肺疾患予防連合年次総合(IUATLD)において、第1回結核専門看護世界会議が発足し、1996年には米国肺疾患会議(ATS)でTB Nurse Meetingが発足した。
 わが国においてもIUATLDに参加した看護職が中心となって、結核看護ワーキングネットワークの必要性を唱え、1999年結核病学会総会の会場において、自主的な結核看護研究会が設立された。翌2000年、結核病学会に「保健・看護委員会」が正式に発足し、以後、総会の一般演題に「結核症の看護・保健活動」が加わり、保健・看護系会員数の増加と共に演題の応募数も急増している。
 今年度の保健・看護委員会のシンポジウム「DOTS戦略の成果」では次のような提言があり、これを受けて保健・看護委員会を開催し「院内DOTS指針」の素案を作成することになった。

提言:
 ここ数年、入院中の患者を対象とした服薬確認に取り組む医療機関が増加している。結核研究所保健看護学科が平成14年に実施した調査では、院内DOTSを実施している医療機関は176施設で、前年の調査より24施設増えていた。しかし、その方法等は各施設に任され、直接患者への服薬確認を行う看護師の負担は大きく、地域と連携した継続支援も十分とは言えない状況である。今後日本版DOTS戦略を推進するためには「院内DOTS指針」の整備が必要である。

検討された院内DOTS指針の骨子

 @指針作成の経緯と目的、A推進のための基本姿勢、B導入に当たっての準備、C基本的な方法、を主な項目の柱として構成し、末尾にQ&A方式による説明を加える。そして、「院内DOTS指針(案)」は結核病学会理事会の承認を得て、「結核病学会誌」に報告予定である。


Updated03/10/31