第2回WHO西太平洋地域結核制圧技術諮問会議


結核研究所国際協力部企画調査科長  須知 雅史


会議全景

 2001年6月4日〜6日、中国の北京で第2回WHO西太平洋地域結核制圧技術諮問会議が開催された。昨年2月にフィリピン、マニラで開催された第1回会議では、西太平洋地域における結核制圧のための戦略計画が討議されたが、今回の会議では参加国を西太平洋地域の結核高負担国(後述)に絞り、西太平洋地域及び各参加国の結核とその対策活動の状況、第1回会議で提言された5ヵ年計画策定などの進捗状況などを概観し、今後の方向性が討議された。
 参加者は、技術諮問委員(委員長は森亨結核研究所長)、本来の結核高負担国(世界で発生する推定結核患者数の多い国から上位23カ国、それらの国々で全推定患者数80%を占める)である中国、フィリピン、ベトナム、カンボジアの4カ国に加え、モンゴル、ラオス、パプアニューギニアの西太平洋地域での結核高負担国を加えた7カ国の結核対策担当官、JICAなど政府開発機関やNGOなどの支援団体代表などであった。日本からは、委員長である結核予防会結核研究所森亨所長をはじめ、厚生労働省大臣官房参事官芝池氏及び健康局結核感染症課課長補佐高津氏、JICA医療協力部小林氏、JICAフィリピン国結核対策プロジェクトチーフアドバイザー加藤氏(結核予防会)及び同カンボジア国結核対策プロジェクトチーフアドバイザー小野崎氏(結核予防会千葉県支部)、WHO東地中海事務局結核担当官清田氏(元結核予防会)、そして事務局の責任者であったWHO西太平洋地域事務局結核担当官葛西氏など、多くの日本人が参加し、次回開催地に日本を提案するなど活発に発言していた。
 余談であるが、WHO西太平洋地域では、加盟国・地域を結核問題の大きさや対策の現状によって4つのグループに分けている。第1グループは先に述べた結核高負担国7カ国で、西太平洋地域における最重点国となっている。第2グループは、ブルネイ、香港、日本、韓国、マレーシア、マカオ、シンガポールの中まん延の7カ国(地域)。第3グループは、パプアニューギニアを除く、人口100万人未満のフィジー、ソロモン、バヌアツなど、太平洋の21の島嶼国(地域)。第4グループは、オーストラリア、ニュージーランドの低まん延国である。
記者会見 本会議の特徴の一つは、結核高負担国である参加7カ国が、2001〜2005年の結核対策5ヵ年計画と財務計画の概要を、WHOの支援の下に、統一された様式によって作成・発表し、技術諮問委員から提言を受けるという点であった。筆者も、会議に先立つ5月にWHO短期専門家としてモンゴルを訪問し、モンゴル国家結核対策の5ヵ年計画と財務計画の概要作成のお手伝いをした。各国の結核対策について、現状、目標、背景、保健基盤、問題点、活動計画、支援団体、そして財務状況について簡潔にまとめられており、技術諮問委員のみならず支援団体の代表からも、各国担当官やWHOの努力に対し高い評価が与えられた。それぞれの国について、結核対策担当官による5ヵ年計画と財務計画の発表の後、技術諮問委員からのコメント、全体での質疑応答と討議が行われ、最終的に技術諮問委員から提言がまとめられた。例えばモンゴルの例では、保健機構改革、人的資源の確保、増加する結核問題、そして資金調達が重点課題として指摘され、加えて、今後5年間で約7.8億円の資金が結核対策に必要であるが、薬剤費や研修費など2.2億円が不足するであろうことが明らかにされた。それに対して技術諮問委員からは、資金調達のための支援機関の調整委員会の設立、そして現在進行中の保健機構改革の下での結核の患者発見・治療の維持のための戦略の確立が提言された。
 もう一つの特徴は昨年に引き続き西太平洋地域の支援機関の調整委員会が開催されたことであろう。これは、日本、オーストラリア、米国などの政府開発機関、世界銀行などの開発銀行、UNICEFなどの国際機関、結核予防会などのNGOなどが意見交換を行い、今後の地域レベルでの協力について話し合うものである。昨年の会議では、国レベルでのこのような支援機関の調整委員会の必要性が強調されたが、フィリピン、ベトナム、カンボジアでは既に機能しており、中国では近日中に設立されるという。効率的な、そして効果的な協力のためにも、地域レベル、国レベルでの調整委員会の活動が、重要となって来るであろう。
 今年は高負担国に焦点が当てられた。来年は、中まん延国に焦点を当て、大阪で開催される予定である(2002年2月)。先に述べた日本を含む中まん延国では、韓国を除き減少速度の鈍化、あるいは横ばいという状況が現れている。技術諮問会議がどのような分析を行い、そしてどのような勧告を出すのか、注目していきたい。


Updated 01/09/26